欲望や煩悩を“十六羅漢図”に見立てたシリーズ。
釈迦の十六人の高弟をモデルにして中国および日本で図像化されてきた十六羅漢図から着想を得たシリーズ。本来の羅漢が煩悩を断って、悟りをひらいた高僧=聖者であるのとは対照的に、恥漢図では食欲、色欲、金銭欲などの煩悩や欲望を露わにした現代人を描いています。
『印相』~十六恥漢図シリーズ
2010年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
十六恥漢図シリーズ1作目。食欲がテーマ。フライドチキンを頬張りながらも、次の獲物(鳥)を狙っている女性像。
『裏側』~十六恥漢図シリーズ
2011年
豊橋市美術博物館蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
美しさの裏側を知りたいという欲求を描いた作品。化粧パックを剥す女性を宝誌和尚から着想。
『初紅』~十六恥漢図シリーズ
2012年
高橋コレクション蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『霞』~十六恥漢図シリーズ
2012年
西治コレクション蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
ゼロカロリー飲料を流し込む女性像。生きるためにカロリーを取らずに満腹にする現代人は、霞みを食す仙人の域に近づいているのかもしれません。
『隠』~十六恥漢図シリーズ
2012年
茨城県近代美術館蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『夜妄』~十六恥漢図シリーズ
2013年
高橋コレクション蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
夜の妄想に耽る女性像。空也上人の具現化した念仏のように、具現化した異性像が現れている。
『眠』~十六恥漢図シリーズ
2013年
西治コレクション蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『Trick』~十六恥漢図シリーズ
2014年
西治コレクション蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『噂』~十六恥漢図シリーズ
2015年
茨城県近代美術館蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
噂話をする女性像。鷽(うそ)という鳥に話しかけて、それが飛びまわっていく絵。嬉しそうな表情を描き出すのに一苦労しました。
『皮算用』~十六恥漢図シリーズ
2015年
西治コレクション蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『財』~十六恥漢図シリーズ
2015年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『射幸心』~十六恥漢図シリーズ
2017年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具、水干絵具、岩絵具、墨
F120号(194×131㎝)
『キラキラ』~十六恥漢図シリーズ
2021年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具
F120号(194×131㎝)
『美』 ~十六恥漢図シリーズ
2021年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具
F120号(194×131㎝)
女性の美を追求する像。女性画における美とは何か?年齢や容姿といった表層面ではない気韻の部分を何とか描き切りたいと思って描きました。円山応挙の老婆裸婦図などから着想。
『mount』 ~十六恥漢図シリーズ
2021年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具
F120号(194×131㎝)
マウントをとりたがる人間心理を描いた作品。高いところから見下ろすその風景はまさに大観の如し…というところから、横山大観の富士山を背景に描いてみました。
『続』~十六恥漢図シリーズ
2021年
個人蔵
麻紙、アクリル絵具
F120号(194×131㎝)
恥漢図の最終作品であり、新しい欲望(命)の誕生を示唆する妊婦像です。次世代に続くという意味合いから東山魁夷《道》を模した幕を描き、1作目《印相》で飛び立った2羽の燕が戻ってくるというストーリーで完結。